大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(行ケ)179号 判決

原告主張の審決の取消事由の存否について考察する。

1 商標の類否

本願商標の「かつぱ寿司」は、「かつぱ」の語と「寿司」の語との結合によつて成るものである。「かつぱ」の語が、我が国における伝説的、空想的生物を指称し、人口にかいしやしているものであり、まれに、きゆうりの別名として使用されるものであることは、原告の自認するところである。そして、「寿司」の語は、その指定商品「握りずし」との関連からすれば、本願商標を使用する商品の普通名称を表示するものである。

原告は、日本人は社会生活において、食品「寿司」の伝統に沈潜しており、本願商標について「かつぱ」と「寿司」とは同化して一体化し、両語の結合によつて、「かつぱ寿司」は、右伝説的、空想的生物、ないし、きゆうりの意味を全く脱している旨主張する。なるほど、「寿司」が日本人に、伝統的な食品として親しまれて来ていることは、経験上明らかなところであるが、そうであるからといつて、本願商標の「かつぱ寿司」がかつぱに係る伝説的、空想的生物、ないし、きゆうりの意味を全く脱するほどに、「かつぱ」と「寿司」との両語が一体化しているものとは考えられないし、このような事実を認めるに足りる証拠もない。

そうであれば、本願商標中、商品の普通名称である「寿司」には自他商品識別の機能がなく、その機能を果たす部分は「かつぱ」の文字にあり、本願商標は、右文字に相応して「カツパ」の称呼を生ずるものといわなければならない。

したがつて.本願商標は、「カツパ」の称呼を生ずることの明らかな引用商標と、称呼において相類似するものであつて、これと同趣旨に出た審決の判断に誤りはない。

2 指定商品の類否

本願商標の指定商品たる「握りずし」は、材料、調理方法に由来する食品の種別をいうものであるのに対し、引用商標の指定商品たる「べんとう」は、副食物と主食とを一つ又はいくつかの容器に納め持ち運びやすく作り、時間をおいて食べるに適した携帯食品という意味において、食事の方法ないし機能に由来する食品の種別である。したがつて、「握りずし」が食品の一種別を形成しているということと、それが「べんとう」としての用途を有するかどうかということとは、自ら別個の問題であり、排他的関係にあるわけではない。

そして、成立に争いのない乙第一、第二号証の各一、二、弁論の全趣旨によつて成立を認めうる乙第三、第四号証の各一、二によれば、握りずしも、折りに詰め、持ち運びを可能にして、べんとうとしても食用に供されていることが認められるのであつて、握りずしのべんとうとしての用途を否定することはできない。しかも、右乙第三、第四号証の各一、二によれば、握りずしのべんとうが、幕の内弁当、赤飯、のり巻、いなりずし、大阪寿司(押しずし)のべんとう等と同一の販売店舗において取扱われている場合もあることが認められる。原告会社代表者岩間守栄尋問の結果も右各認定を覆すに足りず、他に以上の認定を左右するに足りる証拠もない。

そうすると、本願商標の指定商品「握りずし」と引用商標の指定商品「べんとう」とは、同一の用途に供され、販売場所も互いに交錯するということができ、これに同一の称呼を生ずる商標が付されたとすれば、相互に出所の混同を生ずるおそれがあり、類似の商品といわざるをえない。

したがつて、右と同趣旨に出た審決の判断に誤りはない。

3 以上のとおり、審決の判断は正当であつて、審決に原告主張のような違法はない。

よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

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